2018年3月31日土曜日

都迷惑防止条例、改正案可決当日から幸福の科学が“悪用”

公道での取材を妨害する幸福の科学職員(2017年10月8日・大悟館前)
3月29日、東京都議会で迷惑防止条例の改正案が可決された。「つきまとい」の定義として、住居等の周辺を「みだりにうろつくこと」を新たに盛り込んで規制する内容。これを受けて同日、幸福の科学はやや日刊カルト新聞社と同社・藤倉善郎容疑者兼総裁に対して「抗議書」を送付。改正後の同条例を根拠として、教祖・大川隆法総裁の住居である大悟館(教祖殿=港区白金)前の公道での取材活動について「厳重に抗議」した。

同条例についてはかねてより、市民運動や報道の自由を規制しかねないとして批判が噴出していたが、改正当日に早くもその危惧が現実のものとなった形だ。施行は今年7月1日で、現時点では効力はない。

迷惑防止条例は、「正当な理由なく」「専ら、特定の物に対するねたみ、恨みその他の悪意の感情を充足する目的で」のつきまとい、乱暴な言動、電話やFAXの連続送信、汚物等の送付を禁じていた。改正により、これに電子メールやSNSへの連続送信、性的羞恥心を害すること、行動を監視していることを告げること、名誉を害する事項を告げることといった項目が追加。さらに、住居等の付近で「みだりにうろつくこと」が新たに加わった。

また従来は「6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金」だった罰則が、「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」に引き上げられた。

「正当な理由なく」「悪意の感情を充足する目的で」との条件がつくものの、市民による抗議活動や批判的な報道のための取材活動を「悪意」と解釈することによって規制可能な条文である上、従来の待ち伏せや見張り「みだりにうろつくこと」が加わり、罰則が強化されたことで萎縮効果も増す。張り込み取材等ではなく近辺の公道で取材を行うだけでも違反とされかねない。そのため、市民活動や報道を規制しかねないとして、ネット上で批判の声が挙がり抗議デモも行われている。

しかし改正案は都議会で可決成立。7月1日から施行される。

条例悪用第1号とみられる抗議書
可決された当日の3月29日、宗教法人幸福の科学はやや日刊カルト新聞社と同社・藤倉善郎容疑者兼総裁に対して、東京・白金にある大悟館(教祖殿)前での取材に抗議する書面を内容証明郵便で送付した。可決された改正迷惑防止条例を根拠に、「厳重な処罰の対象となる」などとして、以後の取材を行わせないよう威嚇する内容。同条例の悪用第1号とみられる。

大悟館をめぐっては昨年10月8日、当時、ドキュメンタリー映画『ゆきゆきて、地球神軍』を制作中だった大阪芸術大学の学生と藤倉総裁が公道上で取材活動をしていたところを、幸福の科学職員が多数で取り囲み、カメラを塞ぐなどの実力行使で妨害(関連記事1)。その混乱は多方面に波及した。

12月7日には、公道を選挙し取材を妨害する幸福の科学職員らの姿を取材するため大手メディアを含む8人の報道陣による「プレスツアー」が行われ、これも幸福の科学側が妨害(関連記事2)。今年3月10日には、藤倉総裁らが大悟館前で写真を撮影しても職員が実力行使による妨害活動を行ったことから、藤倉総裁は一連の「大悟館紛争」の終結と公道における日本国の主権回復を宣言した(関連記事3)。ところが3月25日、桜が見頃となった大悟館を取材しようとした藤倉総裁をみたび教団職員が妨害した(関連記事4)。

騒動の発端となった映画『ゆきゆきて、地球神軍』は、今年2月に大阪芸術大学映像学会の卒業制作展での上映が予定されていたが、幸福の科学が大学や制作者の学生に訴訟を予告するなどして圧力をかけ上映中止に追い込んだ(関連記事5)。

公道に立ちふさがり報道陣を威圧する幸福の科学職員たち(2017年12月7日・大悟館前)
一連の騒ぎをめぐっては、幸福の科学の代理人である佐藤悠人弁護士(東京弁護士会)、水谷共宏弁護士(東京第2弁護士会)、木村勇太弁護士(東京弁護士会)、近藤弘成弁護士(東京弁護士会)が藤倉総裁に「永遠の生命の危機」などと記載した脅迫状を内容証明郵便で送りつけ(関連記事6)た。そのため、幸福の科学・藤倉総裁双方が警察に相談し、警察を巻き込む対立に。大悟館前の写真を投稿した藤倉総裁のTwitterアカウントが5度にわたってロックされ(関連記事7)、藤倉総裁が撮影した写真を掲載した第三者のブログ記事が教団からの抗議を受けたプロバイダにより削除されたケースも。同様の写真を掲載したネットメディアに教団が抗議するなど、幸福の科学によるネット検閲もエスカレートした。

今回の抗議書は、3月25日に藤倉総裁が大悟館の桜が見頃になった様子を取材に行ったことを「迷惑行為」として「厳重に抗議」する内容。都議会での条例改正を受け、それを根拠とする記載もあった。

〈今後、同様のうろつき行為を行なった場合、本日、東京都議会で可決成立した改正迷惑防止条例の「住居等の付近をみだりにうろつく行為」に該当し、厳重な処罰の対象になることを知るべきである〉(抗議書より)

大悟館は宗教法人幸福の科学の施設だが、教祖・大川隆法総裁の住居でもあることから、改正迷惑防止条例の「住居等」に該当する可能性が高い。

これを受けて藤倉総裁は緊急談話を発表。条例への抗議の意も込めて、改正条例の施行日である7月1日に大悟館を取材しに行くことを宣言した。

藤倉総裁の緊急談話(全文):

「カルトが法律や条例を悪用するのは当然だ。カルトなんだから。しかし政治がカルトを手助けしてどうする。
条例改正に抗議の声を上げるすべての人々に敬意を表する。私もこの身をかけて、萎縮しない姿勢を示さねばならない。また、この悪法の実際の影響を確認する必要もある。
そのため、改正条例施行日である7月1日に幸福の科学・大悟館へ取材に行くことを、ここに宣言する」

幸福の科学からの抗議書(全文)
2018年3月29日

東京都********
「やや日刊カルト新聞社」こと
藤倉善郎 殿

東京都品川区五反田1丁目2番38号
幸福の科学広報局
部長 高間智生

抗議書

冠省
貴殿は、当教団施設に無断侵入したとして、警視庁荒川署から3月23日、建造物侵入の疑いで東京地検に書類送検しているにもかかわらず、またもや、25日、港区白金の当教団施設に押しかけて、うろつき、無断で写真撮影を行った。
当教団は貴殿に対し、東京団の度重なる通告にもかかわらず今回も繰り返し「迷惑行為」を行ったことにつき、厳重に抗議するものである。
今後、同様のうろつき行為を行った場合、本日、東京都議会で可決成立した改正迷惑防止条例の「住居等の付近をみだりにうろつく行為」に該当し、厳重な処罰の対象になることを知るべきである。

なお、貴殿が、当教団職員の写真画像を侮辱的に加工している事案についても、当教団職員から刑事告訴を行っているので、あわせ通知するものである。

不一
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3 コメント:

まむこ さんのコメント...

新たなポスト 《被告兼総裁》 が必要になるかも・・・

まずは、スリーパーセルの、らむ氏に先行突撃取材に行ってもらう

のが良策では?

匿名 さんのコメント...

《被告人兼総裁》ね。

匿名 さんのコメント...

“住居”だと言うのなら固定資産税を払いましょう。